忌まわしの地
とある人と会うために、元かみさんの実家の地元まで出向いた。
久しぶりに見る街は特に変わった様子もなく。
あの頃の自分とは何もかもが違う状態で歩く街は、
なんだかフィルタをひとつ透かして見るような感覚だった。
元かみさんの精神的な病が原因で離別したのだが、
もしかしたら顔を合わせてしまうかもと言う危惧も
どこ吹く風で、新しい街を見ているように喫茶店まで歩いた。
あれからもう半年以上経っている。この土地に訪れるのは
きっと一年ぶりぐらいだろう。何百回と訪れた街並み。
がんじがらめの鎖からは釈放された。自分を奮い立たせて
様々な試みをもって這いずり回りながらも前へ進む。
しかしながら心の中の空虚な感覚だけはごまかせない。
誰のためでもなく自分のために生きることが出来るというのに。
あの頃はただがむしゃらに毎日を戦い抜くしかなかった。
自分の本来の家族を巻き込むまでになった時、離れるしかなく。
思いつく全ての行動を実践しても、完治に導くどころか
何の役にも立たなかった。無力だけを痛感した。
愛しながらも憎み続けてそでれでも待ち続けて、
相手側が理解してくれることもなく、全ては終わった。
こうしてそんな七転八倒の日々の中で垣間見た笑顔の時間。
つかの間の楽しさを感じていた街に、再び訪れることが出来た。
前に進めたのだろうか?それとも、ただ忘れ始めているだけなのだろうか。
自分の居場所すらも見出せない時間の中で、
安らぎや心からの笑顔も見つからない。
自己満足で生きていけるのなら、どんなに楽なことだろう。
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